鬼の子
「蔵ってこれか?」
ドキドキさせながら歩いていたら、すぐに倉庫の前に着いた。繋いでいた手は自然と離れて行く。
漆喰仕立ての建物は、小さいながらも存在感がある。久しぶりに蔵を見たけど、夜に見ると少し怖い雰囲気が漂っていた。
「綱、どう?いけそう?」
少し遅れてきた光希の表情は、少し強張っているように見えた。
さっき視線を逸らされたのが気になり、視線を送るも一向にこっちを見ようとはしない。
彼の感情が分からなかった。
カチャカチャと細かい金属音を立てながら綱君が、倉庫の鍵を開けようと奮闘している。
「これ、見つかったら俺捕まる?」
ハハッと笑いながら、おどけた声で言う。
「私の家だから、流石に捕まらないけど・・・・・、
ボロックソに怒られると思うから、見つかりたくない」
「良くて説教。悪いと1週間家に閉じ込められるな」
「見つからないうちに、さくっと、探しますかっ。・・・・・よし。空いた!!」
カチャッと響きの良い音が鳴る。ものの数分で、倉庫の鍵を開けたのだ。
「早っ!」
「もう?」
予想外の速さに驚いて呆気に取られる。
「その技術は一体どこで?」とか、聞きたいことはあったけど、口を詰むんだ。
開かずの倉庫の鍵を開ける事ができた。
やる事は1つ。
「よし。呪いを解く方法を探そう」