鬼の子
鬼の子の呪いの手掛かりを探して、黙々と書物を読み調べていく。みんな真剣で、口を開く者はいなかった。
「なあ?これって・・・・・」
黙々と作業をする中、口を開いたのは綱くんだった。一段とボロボロの書物を手に持っている。
「これ、見てみろよ。ボロボロで読みにくいけど、"鬼の子の呪いを記す。"って書いてあるよな?その次のページが・・・・・」
「・・・・・・ない」
ボロボロの書物には、確かに"鬼の子の呪いを記す"と書かれていた。そして、次のページが乱雑に切り取られている。
「誰かが・・・・・破り捨てた?」
「100年前とか、昔に破り取られてたのかもよ?」
綱くんは破り取られたページを、真剣な顔でまじまじと観察している。
「いや、これ破り取られたのは最近だな」
「え、なんで分かるの?」
「この古典100年前以上の物だろうから、ボロボロだし、かなり色褪せてる。それと比べて、破れた紙の端の色褪せが少ないと思わないか?」
そう言われて、もう一度しっかり破り取られた部分を確認すると、確かにその通りだった。
色褪せて黄ばんだボロボロな書物に対して、破り取られたページの紙の端は色褪せが極端に少なかった。
「・・・・一体、誰が・・・・・・」
ガタッ、と蔵の入り口の方から大きな物音がした。
・・・・誰かきた?
隠れようにも隠れられる場所もない。
そして、逃げる時間もなかった。
「やばい、誰か来た!」
ギーっと鈍く重い音をたてながら、蔵の扉が開いた。