鬼の子
・・・気にしちゃだめ。
うん、こんなの平気。
「ふう」と息を吐き少し気合いを入れてみる。
いつも通り教室に運び込もうと机に手をかけた。
ふわっと花束のような香水の匂いを背後から感じた。
「ひっでぇな、これ」
振り向く前に、気だるげそうな低い落ち着いた声が聞こえてきた。
「・・・・・綱くん」
虐められている事が綱君にバレたことが、恥ずかしくて頬だけでなく耳まで真っ赤に染まった。
薄々は勘付いていただろうけど、クラスに虐められていることをこんな形で、綱くんに知られたくなかった。顔が見られずに俯いてしまう。