カクテル
麻理さんは、彼氏と何かあるとこの店に訪れるのだろうか、
「君嶋さんは、麻理さんと同じ会社の方ですか?」
「はい、麻理さんの3年後輩で同じ職場で働いてます」
「そうですか、麻理さんの彼氏も同じ会社の方ですよ」
「えっ うちの会社の人?」
「はい、詳しく分かりませんが、二人でいらした時に、会社の話をされてたので、、」
誰だろう?
会社全体では800人程の従業員がいる、
市内のあちこちのビルに分散してるから顔も見た事が無い人が沢山いる。
「マスター、その彼氏は幾つぐらいの方ですか?」
「どうですかねぇ、、
麻理さんよりはいくつか上かなぁ。
でも麻理さんの話しぶりから、そんなに歳は離れていない気がしますが、、」
麻理さんの彼氏が誰なのか気になったけど、
店に迷惑かけるといけないので、
余り長居はできない。
「マスター、タクシー呼んで貰えますか?」
「良いですよ、週末だから多少時間かかりますが」
麻理さんを優しく揺すって起こした。
「麻理さん、タクシー頼んだから帰りますか?」
彼女の背中にそっと手を添えて聞いてみる。
「う〜ん、君嶋くんも一緒に?」
「はい、心配だから家まで送りますよ」
「優しいね、、ありがと、、」
虚な目で僕を見上げて、口元に頼りない笑みを浮かべた。
彼女を支えながら表に出ると、夜の街はまだこれからなのか、通りは人が多く賑わっていた。
すぐ横の店の前には人だかりができて、送別会の集まりなのか、手に花束を抱えた人が仲間に囲まれて騒いでいた。