カクテル
この距離なら、なんとかいけるかな
小柄な麻理さんをお姫様抱っこしてベッドまで運んだ。
ベッドの上にそっと彼女を下ろそうとした時、
麻理さんは僕の耳元で甘く囁いた、
「君嶋くん、好きにして良いよ」
胸の鼓動が聞こえるぐらいドキドキしている。
抑えて、鎮めて、、
「・・・・麻理さん、、
今日は何があったか知らないけど、
飲み過ぎちゃいましたね」
彼女を抱きたい衝動に必死に耐えて、
「すみません、自分が抑えられなくなるから、
僕はもう帰ります」
風邪を引かないように毛布を掛けてあげて、
背を向けて帰ろうとすると、
「君嶋くん! 女の子に恥をかかせるの!」
背中越しに、麻理さんに怒られた、
振り返り彼女の近くに歩み寄って、
更に罵声を浴びせようとする麻理さんの、
両腕を抑えて、唇を塞いだ。
自分でも意外だった、身体が勝手に反応していた。
彼女の身体の力が抜ける、
彼女が考えにふける時、両手の指を絡めるように、
舌を絡めあう、、
やがて、涙で濡れた瞳で僕に訴えかけた
「私ってそんなに魅力ない?」
「魅力無いわけないじゃないですか、麻理さんに
そんな事言われたら断る男なんて普通いません、
でも、これ以上は勘弁して下さい。
彼氏への当て付けのつもりなら僕は嫌です。
身体は喜んでも、心が淋しいから、
もし麻理さんが本心でそう言ってくれたなら、
僕は喜んで麻理さんを抱きますから」
黙り込む彼女に、
「また、月曜日に笑顔で会えますよね」
そう言い残して部屋を後にした。