カクテル

トイレを出て席に戻ると、麻里さんは今にも寝落ちしそうな瞳で僕を見上げた。

「長かったねー、圭悟、抜いてきたでしょ?
 私は別に気にしないよ、若いんだから」

「違いますから!」


「だめだー眠たい、、圭悟、ベッドまで抱っこしてね」

なんで、自分で、いけるでしょ、
って思いながらも、


「麻理さ〜ん、もう寝ますか?」

「うん、エッチした・・・ね」

もたれかかる麻理さんの身体が次第に重たくなる。

・・・・
うぉー、勝った。

このまま暫く我慢してれば、やがてノンレム睡眠に堕ちるはずだ。

ところが、我慢してる僕にも睡魔は容赦なく襲った。



気がつけば、窓から陽の光が差している。

いつの間にか寝てしまったんだ。

横に麻理さんの姿はなかった、

「圭悟、起きた? 朝食作ったから一緒に食べよ」

恐る恐る顔をあげると、エプロン姿の麻理さんがテーブルに料理を並べていた。

その後姿が新妻みたいで可愛い、
エプロンの下は生足が見えて色っぽい

別に怒っている様子はなさそうだ、ホッと胸を撫で下ろした。

「早く顔を洗っておいでよ」

洗面所で顔を洗おうとして、洗面台の上にペアのコップや歯ブラシ、男性用の化粧品があるのに気づいた。

田中主任も、ここに泊まった事があるんだ、
当然か、
やきもちでも無いだろうけど、なぜか少し悲しい気持ちなった。

「圭悟! 何やってるの、早くおいで」


テーブルの上には、綺麗に盛り付けられた料理が並んでいた。
「わぁ美味しそう。麻理さん料理も得意なんですね」

ん? 返事がない、まぁいっか、

イスに座り、"いただきます"をして
味噌汁を一口飲んだ途端、異変に気づいた。

慌てて席を立って流しに吐き出す。
「か、辛い! 麻理さん何を入れたんですか!」

「私を抱かなかった罰だからね」

抱かなかったって、、
本当は僕だって抱きたいんです!

澄ました顔で味噌汁を飲む麻理さんが、一層恐ろしく感じられた。
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