カクテル
「圭悟! お酒も、エッチな話も無しだからね」
「お酒は僕も飲むから我慢しますけど、エッチな話は麻理さんじゃないですか」
「うるさい、だいたい今だって私の事いやらしい目で見てるでしょ」
「麻理さんがそんな格好でいるから」
「なんで、暑いからタンクトップに短パンじゃない」
「せめて下着はつけて下さい、目のやり場に困るから」
麻理さんは両手で胸を隠して僕を睨んだ。
「圭悟、そんなとこ見てたの? 変態!」
いやいや、
ノーブラで男の前にいる方が変態でしょ。
そんなこんなで、色々な欲を断ち切って10日余り、
麻理さんの的確な指示もあってプログラムは製品として形になった。
翌日、主任に承認してもらうつもりだったけど、10時を過ぎても田中主任は出社してこなかった、予定表には休みの字が書いてあった。
そういえば昨日も休みだったなぁ、
「麻理さん、田中主任風邪でも引いたかな」
「この暑いのに? 課長でいいから承認してもらって」
麻理さんに言われて課長の所に判子をもらいに行くと
「君嶋くんちょうどよかった、話があるからグループの皆んなを集めてくれる? 30分後に会議室で」
なんだろう、
「忙しい所集まってもらったのは田中主任のことなんだが、この前の倫理委員会で田中主任のセクハラを訴える女子社員がいて、調査の結果残念ながら事実と判明しました。
昨日付けで彼は依願退職となりました。
後任については後日また連絡します。
承認が必要なものは直接私のところに、以上です」
意外な結末だった、まさか主任が辞めるなんて。
「麻理さん、ビックリしました」
「私以外にも彼に泣かされた女は沢山いるわ、
彼のことは、もうどうでもいいから、それより
君嶋くん、仕事も片付いたし嫌な奴も居なくなったから、今日はお祝いしよ」