カクテル

「麻理さん、理由つけて飲みたいだけでしょ」

「私は、その後の方が楽しみかな」

げっ、またか、、今度こそ危ないかもしれない、

そうだ

「麻理さん、マスターにお礼言わなきゃだめですよ」

「そう言われれば、あれから店に行ってないね、
 じゃあ、今日はマスターの店にしよかな。
 君嶋くん、お預けね」

僕が? 何を?


ビルの間の狭い路地を抜けると、地下に降りる階段がある、まだ日があるのに覗き込むと内部は暗く侘しい。
店の看板がなければ、まさかここにバーがあるなんて誰にも分からないのではないか、

「麻理さん、暗いから気をつけて下さい」

麻理さんは、僕の言葉に反応して繋いだ手にぎゅっと力を込めた。


突然、彼女が立ち止まった。

「圭悟、今日はエッチできないから、今キスして」

「言ってる意味が良く分かりません」

「いいの、キスしてくれれば我慢するから」

なんで上から目線なんですか、
でもこんな時は、たぶん彼女に何を言っても無駄だ、

「麻理さん、こっち向いて」
両肩を掴んで荒々しくキスをした、

「だめ、やり直し、もっとその気になるように」

彼女の腰に手を回して顔を見つめる、、

「ぷっ、だめ、ふきだしそう」


わー、なんか腹が立ってきた、、


「こうやるの!」

麻理さんは僕の首に両腕を絡めて、
逃げられなくしてから
僕の唇を、麻理さんの唇で甘く噛んでは重ねる、

彼女の息は荒く、熱を帯びていく、、

柔らかな温もりが欲情を掻き立てる。

「どう圭悟、やりたくなったでしょ? 
キスはこうでなきゃ、前戯と思わなきゃ駄目だからね」


麻理さん、本当にやりたくなった、、
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