カクテル
システムの入れ替えはセンターの職員任せで、
僕たちは何かトラブルが発生した時に対処する為に待機していた。
一時間後、
大方の予想通り、何の問題もなく作業は終了した。
「芳崎さん、君嶋くんお疲れ様でした。」
都築さんが、ねぎらいの言葉をかける
「何もしてないけどね、とにかく無事に終わって良かったね」
念のため昼まで様子を見て、正常に動作している事を確認してから帰途についた。
駅に向かう途中、通りがかりの公園で缶コーヒーを買ってベンチに腰かけると麻理さんが、
「圭悟、まだ時間が早いから、何処か寄ってく?」
「いい所ありますか?」
「う〜ん、和歌山と言えばパンダじゃない、生で見た事ないから見てみたいな」
「どこでも付き合いますよ、、」
麻理さんの言葉が耳に入らない
「どした圭悟、元気ないじゃない」
昨晩の事が頭から離れない
「、、麻理さんは、朝まで都築さんと一緒だったんですか?」
「そうだよ、なんで?
ん、あら〜やきもち焼いてんの?」
僕の気持ちも知らないで、ふざける麻理さんに腹が立って、言わなくてもいい事を口に出してしまった。
「あいつに抱かれたんですか?」
「・・・・」
バシッ!
麻理さんは、いきなり平手で僕の頬を叩いた、
呆気に取られて、麻理さんを見ると悲しい顔をしている。
「圭悟は、私が誰とでも寝る女だと思ってたの!」
納得できずに言い返してしまう、
「若い男女が一晩一緒に居て、何もないなんておかしいでしょ、僕を誘惑するように彼にだって、、」
もう一度、僕を叩こうとした手は振り上げられたまま止まった。
麻理さんの目が涙で潤んでいる。