カクテル
7.ホワイトルシアン(愛おしい)
「君嶋くん、今日は麻理さんお休みだから、私が代わりに相手するね」
朝、出社すると向かいの席に座る横谷さんからそう言われた。
横谷さんは麻理さんより1年先輩だけど、異動で他の部署から来た人だから、グループでは麻理さんの方が古い。
「麻理さん、どうかしたんですか?」
「風邪引いて熱があるって、
はいこれ、帰りに買って麻理さんの家に持っていってあげて」
横谷さんはそう言うと、買い物リストが書かれたメモを僕にくれた。
メモには、解熱剤や熱冷ましシートなど、今麻理さんが欲しいものが書かれていた。
「僕がですか?」
「私が行こうかって聞いたら、君嶋くんがいいって言うからさ、はいはいじゃあ頼んであげるねって。
君嶋くんも、麻理さんに好かれて幸せだね。
襲ってダメだからね」
「横谷さんまで、そんなこと言わないで下さいよ」
「ははは、だって麻理さんはスタイル抜群だから、女の私でもたまに触りたくなっちゃうからね」
その日は定時で退社して、途中ドラッグストアに立ち寄りメモに書かれた品物を買ってから、麻理さんのマンションに向かった。
インターフォンを鳴らして、
「君嶋です。麻理さん、生きてますか?」
冗談半分に言ったつもりが、
なかなか出てこない、大丈夫かな、、
心配になってもう一度鳴らそうとした時、
ガチャってチェーンロックを開けた音がして、ゆっくりと玄関の扉が開いた。
「圭悟〜、、」
情けない声で僕の名前を呼ぶと、
そのまま僕に倒れかかって来るのを受け止めた。
うーん、身体が少し熱いかな、
「麻理さん、大丈夫ですか?」
目が虚ろで視点が定まっていない。
でも触れた感じは、それ程熱は無いような気がするけど、、