カクテル
いらいらしながら、
冷蔵庫から缶ビールを一本取って、ソファに座った。
洗面所からドライヤーの音が聞こえる、
テレビでも見ようと思って、リモコンを探したけど見当たらなかった。
っていうか、テレビが無いんですけど、、
今まで気づかなかった、
麻理さんはテレビを見ないのかな。
「あー、さっぱりしたー」
僕が缶ビールを口につけて飲もうとすると、麻理さんがいきなり横から抱きついてきて顔を擦り寄せる。
「圭悟、もう臭わないでしょ」
いやー、麻理さん
石鹸とシャンプーの香りでノックアウト寸前です。
「圭悟もシャワー浴びたら?」
「僕は様子を見に来ただけだから、元気そうなんで帰ります」
「えー、帰るの? なんだ、あんな下着を選ぶから、やる気があるのかなって思ったのに」
「選んでません! 適当に取っただけですから、
そもそも、麻理さん熱があるんですから早く寝
て下さい」
「圭悟、帰っちゃうのか、、」
ん、また甘える気かな、
「麻理さん、熱を測ってみて下さい」
麻理さんは体温計を脇に挟んで首を傾げる、
耳の遠いおっさんじゃ無いんだから、
可愛いけど、首は関係ないっしょ、
ピピッ、ピピッ、、
「圭悟!、38度もあるー」
「もう、シャワーなんて浴びるからですよ」
体温計を見ただけで卒倒しそうな麻理さんを抱き上げ、ベッドまで運んだ。
ドラッグストアで買った熱冷ましシートを、わざとゆっくり麻理さんのおでこに貼ってあげた、
「つめたーーい、もう、パッって貼ってよ!」
「ははっ、我慢してください。はい薬飲んで、」
背中を支えて、解熱剤を飲ませた。