カクテル

僕の体勢が落ち着くと、麻理さんは静かに話し始めた。

「ごめんぬ 圭悟、
 私ね、頼れる人が誰もいないから、、」

そうか、お母さんは早くに亡くなったって聞いた。

「麻理さん、お父さんは居るんですよね?」

「父は、私が高校を卒業したぐらいに再婚したから、それから余り会ってないんだ」


頼れる人がいなくて、病気になれば不安でしょうがないか、少しでも彼女の不安を取り除いてあげたい、

「麻理さん、僕が居ますから困った時はいつでも言って下さい」

「嬉しいけど、圭悟には彼女がいるからなぁ、
 余り甘えられないよ」

「もう、十分甘えてますけどね」

僕の腰に手を回してしがみついた、
「だって、、圭悟が好きなんだもん。気持ちに嘘は付けないでしょ」

そうだね、
もし僕に彼女がいなかったら、ずっと麻理さんの側に居てあげたい、、


麻理さんが眠りにつくのを待ってソファに戻った。


彼女は、どんなに心細いだろう。父親と疎遠なら天涯孤独と同じだ、ちょっとした事でも頼る人が居ないのか。

いつも、自分は強いから大丈夫だと気を張っている姿が痛々しく目に浮かんだ。



「圭悟、おはよう」

麻理さんは、僕の頬に優しくキスをして目覚めさせてくれると、僕の目が開くのを待って今度は唇を重ねる。

うわぁ 朝からそんな濃厚なキスですか、、

「お礼だよ、圭悟ありがとう、もう平熱だからね」

今のキスで僕の方が熱出そうですけど、、


「圭悟、仕事いくの?」

「あっ、忘れてた。今何時ですか?」

「まだ7時だけど、私はもう1日休もかな、
 圭悟も休んだらー」

「横谷さんは、僕が麻理さんの家に来てること知ってますから、後で何言われるか分かりません」

「私が上手く話して置くから大丈夫だよ、
 ねぇ圭悟、休んで何処かに遊びに行こ」

「それじゃ無断欠勤と同じじゃないですか」
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