カクテル
「マスター、僕だって麻理さんも好きですからこんな事したくありません。でも麻由ちゃんには分かってもらえないから、、」
ふと横に座る麻理さんに目をやると、
身体を震わせ、声を殺して涙に暮れている、、
その姿を目の当たりにした僕も悲しくなった、
麻理さん、
なんでそんなに弱くなったんですか、
それじゃ麻由ちゃんと同じじゃないですか、、
あぁ、やっぱり駄目だ、
麻理さんも悲しませたくない。
頭より先に身体が動いて、麻理さんを抱きしめていた。
「麻理さん、ごめんなさい。
もう何も言いません、麻理さんの好きにしていいから、泣かないで下さい」
大好きな人が悲しむ姿は僕は見たくない、
愛おしくて、儚く見えて、手を差し伸べたくなる。
それは、麻由ちゃんだって麻理さんだって同じことだ。
二人を幸せにする事はできなくとも、せめて悲しみだけでも少なくしてやりたい。
「麻理さん、、今まで通りでいいですから
お願いですから、もうそんな哀しい顔しないで下さい」
「・・・ほんとに?」
「麻由ちゃんにバレないように気をつけます」