カクテル
浜松インターを降りて南に向かうと、じきに浜名湖バイパスに入る、しばらく走ると左てにどこまでも続く遠州灘の海岸線が顔を出した。
たまに強く吹く潮風が、
車を抱き込んで悲鳴をあげる、
麻理さんはシートから身を乗り出して声を上げた。
「わあ、すごい、すごい綺麗だね、圭悟見て!」
どこまでもつづく海岸線、水面に陽の光が反射して、キラキラと輝いていた。
「良くこんな道を知ってたねぇ。感動した」
彼女はご褒美と言いながら、僕の頬にキスをした、
バックミラーに写る自分の顔がニヤけている、
ふと紅いものが目に入った。
「あーっ、麻理さん、、
キスマークつけないでくださいよ」
「えっ、あはは、圭悟すごく間抜けな顔だよ」
もう笑い事じゃないし、、
駐車場に車を停めて、バイパス高架下のアンダーパスをくぐると、防波堤に上がる階段がある。
階段を登ると、一面に太平洋の大海原が広がった。
彼方に外国の貨物船が小さく見える。
麻理さんは僕の腕にしがみついて感動している。
「圭悟ありがとう、最後にこんな綺麗な日本の海が見れるなんて、、思ってもいなかった、、」
声が震えている、
「麻理さん?」
顔を覗き込むと、頬を涙が流れていた。
彼女の腕を解いて、代わりに肩を抱き寄せてあげる、
「麻理さんはあの水平線の向こうに行っちゃうんだね」
「、、うん、そうだよ」
「・・・・」
「行かないで、、
行かないでよ麻理さん」