カクテル

「圭悟には彼女がいるじゃない、、」

「でも、彼女と同じくらい,麻理さんが好きなんだ」

「その言い方はずるいよ、私の方が好きだって言ってくれないでしょ」

「彼女には僕しかいない、僕が付いていないと心配なんだ、麻理さんは強いから、、」

「私だって、、圭悟が思ってるほど強くないよ、、
私は甘えるのが下手だから、それが強がって見えてるだけだよ」


マスターの言葉を思い出した。

麻理さんは、僕にだけ弱い自分を曝け出しているって、

僕と2人きりでいる時の姿が本当の麻理さんで、会社での姿は強がってるだけだったのか、、

 
「、、そうだね、僕が勘違いしていた、麻理さんの本当の姿は僕だけが知ってる。」

「・・・・」

「僕の前では、麻理さんは甘えん坊で、泣き虫で、いつも僕を困らせてたね」

「圭悟、、」


僕が、

彼女の本当の姿に、

ちゃんと気づいていることを知ると、

麻理さんは、声を出して泣き出してしまった。



強気な性格が邪魔をして、決して自分の言葉では表現する事ができなかった弱い彼女を、僕は知っている。

それは、彼女が気づいて欲しくて、僕に甘える事でアピールしていた。


彼女の涙を止めたくて、
濡れた瞳に優しくキスをする。

「麻理さん、もう泣かないで」


こんな、悲しい別れは嫌だ、忘れられなくなってしまう。

 

彼女が泣き止むまで、

何度も、何度も瞳にキスをした。


やがて、
「、、圭悟、ありがとう、もう大丈夫だから」



麻理さんは、まだ潤んだ瞳のまま作り笑顔で、

「泣いたらお腹すいちゃった、お弁当食べよ」
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