カクテル

大きなバスケットの中から弁当箱を取り出して、
レジャーシートの上に並べ始めた。

「今朝、早起きして作ったんだからね」

蓋を開けると,色鮮やかな料理が絵画のように盛り付けられていた。

「麻理さんは、本当に何でも上手だね」

「圭悟に食べて欲しくて一生懸命に作ったから、いっぱい食べて」


どうして、僕はこんな素敵な人を今まで受け流して来たんだろう。

綺麗で可愛くて、スタイルもいい、、仕事も出来てこんなに料理も上手い。

彼女を否定するような要素は何一つ無かった。


今日という日が、このまま終わらなければいいのに、
もっと、麻理さんと同じ時間を共有したかった。
もっと、もっと彼女の事を知りたかった。


「圭悟、車の鍵貸して」
「どうしたんですか?」
「バッグを車に置いて来ちゃった、中に化粧道具が入ってるから」

車の鍵を渡すと、
麻理さんは一人来た道を戻って行った。


それから20分が経つ、


遅い、、車との往復にしては時間がかかりすぎだ。
化粧直しに時間が取られても長い気がする。

急に心配になって車の方角を見渡しても姿はない。

もうあんな短いスカートで出歩くから、、
余計に心配になるでしょ

しょうがない、探しに行くか、、


ところが車までの間、何処にも彼女の姿は無かった。

麻理さん? どこ? 
胸騒ぎがする、、

もう一度防波堤に登って、辺りを見回す。

一瞬高架下のアンダーパスに人影が視界に入って、良く見ると隠れてこちらを伺う麻理さんを見つけた。

もう!何やってんの!
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