カクテル
「麻理さん、さっきの新幹線じゃなかったんですか?」
「そうだけど、いいよ自由席で乗れるから、
圭悟、来てくれたんだね、ありがとう。
それより圭悟、卒業試験忘れてた。
別れのキスをして、、」
「麻理さん、、今、此処でですか?
人が沢山いますよ」
「関係ないよ、はやく」
待って、こういう場面ではこの前のような濃厚なキスでは駄目だ、
麻理さんを軽く抱きしめて、頬に優しくキスをした。
彼女は満面の笑顔で僕を褒めてくれた。
「圭悟、、いい男になったね、、
見た目もイケメンだし、優しいし、それで女心がわかれば、あなたは誰から見ても最高の男だよ。
やっぱり、圭悟ともっと早く出会いたかったなぁ、
この前みたいなディープキスだと名残惜しくなっちゃうから駄目だよ、
別れの時はエールを送るつもりで頬への軽いキスじゃないとね」
麻理さんの瞳に光るものが見える、
「圭悟、、
もう、、私から、卒業だね、、
淋しいけど、
私に教えられる事はもう何もないから」
もう終わりみたいな事言わないで下さい。
「麻理さん、アメリカで覚えたことをまた僕に教えて下さい。それまで僕は留年扱いでいいです」
「、、うん、そうだね、圭悟ありがとう」
次の新幹線がホームに滑り込んでくる、
別れの刻が近づく。
ドアが開いて、
麻理さんが手を振りながら乗り込んだ。
ホーム側の窓際の席に座ると、
窓越しに、目を細めて僕を見つめる。