カクテル
12.エピローグ
「君嶋さん、麻理さんは旅立ちましたか?」
「はい、今日の昼前に、、」
「君嶋さんには感謝しております、
麻理の報われない恋を成就させて頂いたそうで、
晴れ晴れとした顔で喜んでいました」
麻理さんはマスターに全てを話したんだ、、
「マスター、本当にあれで良かったんですか?」
「君嶋さんが麻理を幸せにして下さるのが一番ですけど、それは叶わぬ夢ですから。
麻理が納得できれば、それで良いと思います」
僕の心は晴れない、
大好きな人を悲しませてしまった。
麻理さんは、どんなに辛い思いをしただろうか、
僕を忘れるのに、どれだけの月日が必要だろうか。
「君嶋さん、元気を出して下さい。
今、麻理さんに頼まれたカクテルを作りますから」
「麻理さんに頼まれた?」
「えぇ、君嶋さんが来られたら作るようにと、」
マスターは、麻理さんの指示通り三杯のカクテルを僕に作ってくれた。
一杯目は、カサブランカ (甘く切ない思い出)
二杯目は、ブラックベルベット(忘れないで)
そして最後は、グランドスラム (二人だけの秘密)
マスターは三杯目のカクテルに、
麻理さんが書いたメモを添えて僕の前に差し出した。
「私は見てないのでわかりませんが、このメモの通りの意味らしいですよ」
メモを開く、
『圭悟、
あの一夜の甘く切ない思い出を忘れないでね、
麻由ちゃんにバレないように気をつけて、
私と圭悟の二人だけの秘密だから、、
圭悟、愛してるよ。 麻理 』
二人だけの秘密か、、
は、はい絶対に忘れません、
ま、麻理さん、、僕も愛してますから。
泣けてきた、、
高校時代の彼女と、これで2人目だ、
また、僕は大好きな人を幸せに出来なかった、
麻理さん、ごめんなさい、、
マスターが励ましてくれた、
「君嶋さん、麻理さんは必ず帰ってきますから、
それまで私はこの店を守ってみせます、君嶋さんも応援して下さい、
ここは、麻理さんの帰る場所ですから、、」
完