弊社の副社長に口説かれています



陽葵は尚登の腕の中で目を覚ます、頭だけを動かし壁掛け時計を確認した。16時過ぎ、ほぼ20時間もこうして裸で抱き合っていた。
何時間も飽きることなく求め合った。明け方に一度はシャワーを浴び眠りにつこうとしたが、入浴で湿り温かさのある体に興奮した尚登に襲われるように求められた。挿入はいいらしい、とにかく陽葵の肌を堪能していたいという。確かに陽葵も触れられれば心地が良い、素直にされるがままにいた。

食事も後回しで求め合う、キッチンへは時折水を飲むために行く程度だった。

かなり恥ずかしい体勢でも求められた、初めてなのだからもう少し手加減してくれてもとよぎりはしたが、求められれば幸せに満たさる、その全てに応じていた。全身がやや筋肉痛なのはそのせいだろう、声を上げ過ぎて喉も痛く、下腹部には破瓜による痛みもある、その全てがなんとも心地よく満たされた気持ちになる。

だが激しい運動の連続だった、今にもお腹が鳴りそうだ。

「尚登くん」

もぞもぞと体を動かしながら呼びかける、尚登は既に目が覚めていたようだ、優しく陽葵の背を撫でた。

「さすがにお腹が空きました」
「そうだなあ……」

陽葵の髪に鼻を埋めて呻くように返事をする。

「……作るのも外に出るのも億劫だし、なんか頼むか……」

陽葵を抱きしめたまま、ベッドサイドのチェストに置いたスマートフォンを手に取った。

「じゃあ、シャワー浴びてき」

起き上がろうとしたが、尚登はわざわざ乳房を掴み引き留める。

「や……っ」
「いいって、そのまんまで」
「嫌です……っ、も、離し……っ! 人が来るのにこのままで会うわけには……!」

服を着たい、せめて寝間着でいい。だがそのためにはまずはシャワーを浴びたい、全身汗やらなにやらで大変なことになっている。

「飯は俺が受け取るし、置き配でいいし。飯来る前にもう一回しよう」
「もう一回って、もう何回やって……!」

もっとも20時間、ずっと交わりあっていたわけではない。だが尚登はずっと陽葵を抱きしめ体を撫でまわしキスをしていた、それだけで心地よく陽葵はクラクラしどおしだった、そろそろ解放されたいのが本音だ。

「陽葵、何食う?」
「尚登くんが食べたいものでいいです。ちょっと、離し……っ」

本格的に逃げようと腕に力を込めたが尚登の方が力は上だ、易々と固定され首筋に食むようなキスをされた。途端に全身から力が抜けてしまう、一晩中味わった快感を思い出し体の奥がじわりと熱くなる。意識では駄目だと思うのに体は正直だ、小さな喘ぎ声を上げ体を摺り寄せていた。
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