私を包む,不器用で甘い溺愛。
榛名くんと甚平くん
秘密暴かれ
お昼になって,潔さがかけらもない私は,お弁当を持ってうじうじとしていた。
気まずい。
その気持ちはお互い抱えているものだと思うと,そんなに急いで行くべきかととてもまよう。
そんな私の前に現れたのは甚平くんで,昨日のお誘いは断らなくちゃと思った。
それでも,私か口を開く前に,引き留めるように手首を掴んだ甚平くんの目が真剣で。
結局,最初に口を開いたのは甚平くんの方。
「ごめん,来栖さん。ちょっとだけ大事な話をしたいんだ」
その言葉に,本当に少しなら今の榛名くんも構わないだろうと。
そんな打算的な気持ちで,ほっとしながら頷いた。