私を包む,不器用で甘い溺愛。
「知りもしない榛名くんを悪者にして,有栖をいいくるめて。どうにもならないとこっそり私に話を持ちかけるだなんて,卑怯な人ね」
「……~っよく分かったさ。俺たちはどうも根本のところで合わないらしい」
と,言うことにしたらしいと言うのは伝わった。
嫌なものには蓋をしようと言う魂胆。
私を排除したって,答えはいつでも甚平のなかにあるのに。
まぁどこかに行ってくれるならこれ以上の事はない。
ばんっと机を再度たたいて離れていく甚平。
私はその背を見届けもせず
「あ」
と大袈裟に声をあげた。
「榛名くん,あの子きっともう悪い子じゃないわ」
「そんなの……信じられるわけがない……!」
あっそ。
どうせこれが最後よーだ。
そうべっと舌を出した私は,ひゅっと引っ込める。
どうやら周りにいた子達をハラハラさせてしまったらしい。
あらま,ごめん遊ばせ。