私を包む,不器用で甘い溺愛。
「来栖で,黒髪のロング。ってことは隣のこいつか? こなつ」
「こなつ?!」 「こなつちゃん?」
とても,大きな人。
「ちょ,ちょっと待ってよたかし!」
その隣にいるのは,こなつちゃん。
怯えてる目。
その目が,とても気がかりになる。
彼は私を,私達を探していたの?
どうして……?
「じ,甚平くん,なんか,こなつちゃん変じゃ……」
私は不安を取り除くように,甚平くんの腕に手を置いた。
「こいつ,知ってるよ俺。俺達の別れのきっかけになった俺の勘違い,そんときの相手だ」
それに,彼の方……
ちらっと移した視線の先,彼の手元には
「これは,よくわかんねぇけどやべぇな。レンガなんて持ってきやがって,あんまり穏やかじゃない。こなつ,今度はなんのつもりなんだよ,もう充分だろ!」
「ち,違うわ! 私,私なにも……!」
「下がってて,有栖さん……何とかしてみるから」
「でも……こなつちゃん……」