私を包む,不器用で甘い溺愛。
目の前にスマホを握りしめ震える後輩の姿がある。
「たかし,なんてことするの……私やめてって,あんなに……」
「……こなつ……」
冷静になったのか,だらんと両腕を下げ顔を青白く染めた彼。
彼をじっと見る甚平くんは,それでも力を緩めることはない。
「先輩,あたし,わたし……ごめんなさい。110番と119番,どっちに,わたし,わたっどうしたら……!」
後輩のその子ですら,自分に関係のない罪に苦しんで,榛名くんを助けようとしてるのに。
私一人,榛名くんのとなりで使えない玩具をやっている訳にはいかない!
「119番! こなつちゃん,お願い! 榛名くん,榛名くん!!」
血を,止めなくちゃ……!!!!!