私を包む,不器用で甘い溺愛。

ううん,やっぱりだめよ。

きっとあれで良かったの。

私にはまだ早いことなのよ。

ぶんぶんと首をふる。

すると,黙っていた榛名くんに声をかけられてしまった。



「ありす?」

「ごめんなさい,少し考え事を。心配しないで」



それはもう悶々と。

今まで経験しなかったことだから,余計に考え込んでしまったわ。



「そうですか。あ,ありす」

「?」

「これ,プレゼントです。お昼食べられないのは可哀想だもの」



そう言って榛名くんが手渡したのは,チョコチップのクッキーが1枚と,梅の味のアメ。



「ありす,梅は食べれるって言ってましたよね。たまたまぽっけに入ってたので。これでも舐めて午後も頑張ってください」

「ふふ,確かにそんな話しもしたわね。ありがとう」

「あれ,もう食べちゃうんですか?」

「ええ,せっかく貰ったんだもの。忘れないうちに」



ころんと転がすと,梅の風味が広がる。

榛名くんの優しさが入っているからか,いつもより美味しく感じた。

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