私を包む,不器用で甘い溺愛。




翌朝,私はいてもたってもいられずに,学校へ行く前に病院へと足を運んだ。

何か規則があるかもしれないから,一応受付で話をしてから甚平くんに聞いた部屋番号を探す。

番号で分けられて,所々見つかる案内も見やすかったため,榛名くんの病室も直ぐに見つかった。



「あの,ごめんなさい。通ってもいいですか?」



部屋の前に,立ちすくむ女性。

どんな事情で入らないのかは分からないけれど,相部屋だから知らない人も立っているでしょうと私は声をかけた。

わ……綺麗な女性……

弾けるように,困惑した顔の女性が私を見る。



「あ,ああ,ごめんなさい。あ,あの……」

「はい?」

「迷惑だと,お手間だとは分かっているんです。ただ,もしかしなくても,このお部屋に用があるんですよね……? 貴重な時間を盗ってしまうことになって申し訳ないのですけど,この中の高校生の男の子が眠っているか見てきてくれないかしら」



ーもちろん急だということは分かっているわ。

と,彼女は自らを恥じるように私に頼んだ。



「あの,それくらいでしたら……」

「まあ,本当に……?!」



感激したような彼女に,私もにこりと微笑む。



「はい,理由は分かりませんが,高校生の男の子,ですよ……ね?」



……え?

こんな朝から来るほどで,高校生の男の子への見舞い?

まさか,この人……

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