クールな綾瀬くんと、秘密の愛され同居始めます。
◇
「うおぉぉー!くるみぃぃぃ~!元気でなあぁぁ!」
「あ、あはは……。うん…」
なんて、今生の別れみたいに言ってくるのは、もちろん私のお兄ちゃん。
「ひっさしぶり~、美世ちゃん!」
「久しぶり~瑠美!」
…お母さん2人組は、仲がよいのだとか。
「この子が胡桃ちゃん!?あらあら、すごい美少女じゃない!」
「1ヶ月間、お世話になります」
ペコリ、深くお辞儀をした。
(って…美少女!?私が!?)
「そそそんな!私、美少女じゃないです…」
「…謙虚なところがめちゃくちゃいいわね。胡桃ちゃん可愛い~!」
「…わ!」
ぎゅっと勢いよく抱きつかれてしまった。
(美世さん、すごくいい香り…)
少し言われていることがよく分からなかったけれど、悪い印象を与えなくて良かった。
とりあえず、その事に安心してほっと息をついた。
「ーーー」
「ーーー」
お母さんたちは、久しぶりみたいだから会話が弾んでいるみたい。
一方、私の方は……。
「胡桃、ちゃあんと部屋と窓の鍵は閉めるんだぞ。それに、髪はすぐに乾かせ。息子くんにあまり近づき過ぎるなよ。あとーーーー」
つらつら、ペラペラ。お兄ちゃんからの言い付けがいっぱい。ここに来るまでに、一体何回言われただろうか。両手では数え足りない気がする…。
(…なんでそこまで言うんだろう…?)