迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
悪い事は重なるものだ
「はぁ――っ、今日は最悪の日だ。」
薄暗い部屋の中で冷蔵庫を開けて缶ビールを取り出す。
まだエアコンが効いていない部屋の中は蒸し熱く、缶の表面にはすぐに水滴が溜まり、ツーッと流れ出す。
私はそのまま冷蔵庫の前にペタンと座り込み、プシュッという音を立ててビールを開けた。
冷蔵庫の扉は開けたままのため、その明かりだけが部屋を照らしている。
静かな部屋の中に、ゴクッゴクッとビールが喉を流れる音がする。
缶から口を離して、大きく息を吐き出すと、そのまま天を仰ぐように天井を見つめた。
すると、目じりからは温かいものが流れ落ちて来る。
「絶対に泣かないからね!私はこんなことで…泣いたりしない!」
一人暮らしの小さなワンルームに、自分の声だけが響く。
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