迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。


警察に到着すると、真紀は奥の部屋でポツンと座っていたのだ。

そして、連絡を貰ったのは私だけでは無かったようだ。
玲也も凄い形相で警察に入って来たのだった。

玲也は真紀の前に立つと、いきなり何も言わずに頬を平手打ちしたのだった。

それでも玲也は怒りが収まらないようで、真紀の前で何か言おうとしていた。

私は咄嗟に真紀ちゃんを後ろに隠すようにして玲也に向き合った。

「真紀ちゃんに一度話を聞きましょう…私達が真紀ちゃんを信じてあげなくてどうするのですか!」

自分でも驚いた。私は玲也に向かって大きな声で叫んでいたのだ。
私の勢いに驚いたのか、玲也は動きを止めて一度額に手を当てた。

「真紀、人に暴力を振るって怪我をさせたと連絡があったぞ…なんでそんなことをしたんだ…なにがあったか詳しく話してくれ。」

すると、真紀は大きな瞳に涙を溜めながら話してくれた。

「私はね…ただ困っている女の子を助けたかったの…それでね…」

どうやら真紀は電車の中で痴漢にあっている女の子を助けようとしたようだった。

しかし、その男は逆に真紀に暴力を受けたと言って言い逃れをしていたようだ。
痴漢に合っていた女性は学生のようで怖くなり逃げてしまったらしい。
そのため、真紀が暴力の現行犯で警察に捕まったようである。

玲也が怒って駆け付けたのは、真紀が人に暴力を振るった現行犯で警察に連れていかれたと聞いたからだった。
普段は優しい玲也だが、人を傷つけたと聞いて許せなかったのだろう。


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