迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
なんと、玲也はブラックローズ社のCEOだったのだ。
考えてみれば、玲也がフランスに帰って来たタイミングと、この会社のCEOが日本に来た時期は、重なっているではないか。
今となってみれば、わかりそうなことだが、まさか玲也がブラックローズ社のCEOだなんて、考えても見ない事だった。
だとすれば、私は自分の会社のCEOの家に居候させてもらっている事になる。
なんということだろう。
驚きで頭が真っ白になっている時だった、マネージャーが私の名前を呼んだのだ。
「花宮さん…花宮唯さん…。」
私がマネージャーに呼ばれているのを、気づかずにいたので、理子が慌てて私の肩を叩いた。
「唯…ちょっと唯…マネージャーが呼んでるよ。」
慌てて返事をしたため、裏声になってしまった。
「は…はは…はい。」
皆が私を見てクスクスと笑う中、蓮が私に気づいたようだ。
蓮は驚きを気づかれぬよう、冷静を装った。
私が近くに来たことを確かめると、マネージャーはコホッと咳払いをして、インターンである蓮達に向かって話し始めた。
「今日から少しの間、この花宮さんに仕事を教えてもらってください。彼女は営業事務だから、営業の内勤について詳しく説明してもらおう。その後に営業を実際に体験してもらう事にしよう。」
「はい。」
「はい。」
宮森さんと蓮が同時に返事をすると、私の方を向いた。
そして、蓮は涼しい顔で挨拶をした。
「花宮さん、よろしくお願いします。」
「こ…こ…こちらこそ…よろしく。」
動揺している私を見て、宮森花は怪訝な表情をする。