迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
花は驚きのあまり、口をパクパクさせて声が出ないようだ。
「鈍い君のために教えてあげよう。花宮唯さんは、僕の大切な女性(ひと)なんだ。」
私も驚きのあまり、声が詰まるほどだった。
「…なっ…ちょっと…なにを仰るのですか、CEO…」
慌てている私に玲也は優しく微笑んだ。
その表情は私に話を合わせろと言っているようにも見える。
すると、花は少しの間、目を大きく開けてそのまま固まっていたが、やがて開き直ったように、声をあげた。
「言われなくても出て行くわ…こんな会社に来たくもなかったのよ。」
花は睨むような鋭い目で私を見ると、そのまま踵を返して出て行ってしまった。
それまで、何も言わなかった蓮は玲也の方を向いた。
「兄さん、いくらなんでも自分の恋人だなんて…唯ちゃんに迷惑だろ!」
すると、玲也は私を真っすぐに見た。
「唯ちゃん、勝手なことを言ってすまない…しかし、もう少しこの嘘に付き合ってくれないかな?」
「嘘に付き合うって…どういう事でしょうか。」
少しの時間沈黙した玲也がゆっくり息を吸い込み話し始めた。
「僕の恋人になって欲しい…といっても、期間限定で構わない。」
驚きで声を出したのは、私だけでなく聞いていた蓮も同時に声を出した。
「き…期間限定とは?」
「期間限定…ってなんだよ。」