迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。

その日の夜、玲也は仕事で遅くなると言っていたので、一人で夕食を食べていた。

私はこの時まだ、玲也から言われて引き受けてしまった期間限定の恋人が、どれだけ大騒ぎになるのかを分かっていなかった。
すると、理子から電話が掛かって来た。

理子がL●NEではなく電話をしてくるなん珍しいことだ、なにかあったのだろうか。

「理子、どうしたの?」

「唯、なに呑気なこといってるのよ。今、後輩の子から連絡が来て、唯がCEOの恋人なのは、本当か?と言って私に電話が掛かって来たのよ…どういう事なの?」

こんなにも早く噂が広がるとは驚いた。
花が麗香や会社の誰かに言ったのだろう。

「あ…あのね…理子。実は本当なの…でもね、期間限定なんだ。」

理子には、なぜこのような事になったのかという経緯を話したが、それでも驚きの声をあげた。
そして最後には、唯を心配する言葉を出した。

「理由はわかったけど、思った以上に大変な事を引き受けちゃったかもね…何かあったら私に言ってよ…CEOのファンクラブみたいな人達もいるんだから、注意したほうが良いよ。」

「うん、わかった、理子ありがとう。」

理子に言われて、改めて大変な事を引き受けたことに気が付いた。

玲也はただのCEOではないのだ。
女性達からの人気といったら尋常ではなく、そういえば理子が言うようにファンクラブがあると聞いたこともある。

電話を切った私は、天井を見上げた。

「こんなに大変な事になるなんて…どうしよう。」

誰もいない部屋で私は大きな声をあげていた。




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