迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。

玲也は完璧ともいえる笑顔を、そこにいる女性1人ひとりに向けた。

「君は相川さんだね、いつも報告書は見ているよ。とても的確でわかりやすい。助かっているよ、ありがとう。」

すると、その女性は溶けそうな表情に変わり、顔を赤くした。

「そ…そんな…CEO…ありがとうございます。それに、私達は花宮さんを攻めていたわけではございません。ただ…事実を確かめたくて、伺っていただけなのです。」

私が驚いて女性達をじっと見ると、先程とは似ても似つかぬ表情で、満面の笑みを浮かべて
私に話し始めた。少し気味が悪い。

「花宮さん、驚かせてしまってごめんなさいね。…私達は本当のことが知りたくて、貴女を問い詰めてしまったようだわ。」

わざとらしい言葉と表情だが、とりあえずこの場は助かった。

彼女たちが立ち去った後、玲也は私の頭にポンと優しく触れたのだった。

「唯ちゃん、嫌な目に合わせてごめんね。僕のせいで、今のような事がこれからも起きるかもしれない。でも、全力で守るから僕を信じて。」