迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
「ところで、玲也さんと瀬谷さんは、どうしてここにいらっしゃるのですか?」
すると玲也は少し気まずそうに小さな声を出す。
「い…いや…たまたま近くに来ていて…唯ちゃんの招待状の封筒がここのホテルだったから…本当に偶然なんだ。」
それを聞いていた瀬谷さんは、無言で大きく首を振った。
「いえ…今日は以前から、CEOはここに来ることを決めていたのです。」
「瀬谷!もうそれ以上言わないでくれ!」
玲也は横を向いているが、見えている耳は真っ赤になっている。
「ゴホッゴホッ…」
玲也は皆の前で恥ずかしそうに咳払いをした。
「CEOは、唯さんが心配でしょうがないようですね。」
瀬谷さんは少し呆れたような表情をした。
しかし、玲也さんが私を心配してくれているとは驚いた。
弟の責任をそんなにも感じてくれているのだろうか。
責任感の強い玲也さんならそれも考えられる。