迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
いかにも重厚感のある大きな扉。
ここは海外セレブも来るという、老舗の宝石店の入り口だ。
もちろん唯も名前は知っているが、店に入ったことは無い。
一般人には近寄りがたい荘厳な雰囲気を醸し出しているお店だ。
「唯ちゃん。ここで指輪を選ぼうと思うんだけど、良いかな?」
「こ…ここは…こんな高級店で選ぶのですか?」
玲也は慣れた感じで私の背中に手をあてて、店のドアに近づいた。
すると中の男性が微笑みながら重厚なドアを開けてくれた。
「橘様、お待ちしておりました。」
お店の男性は、玲也に深々とお辞儀をしながら挨拶をした。
「今日は婚約指輪を見たいんだ。」