迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
お母様が静かに部屋を出た後、玲也は珍しく大きく息を吐いてポスっと音を立てるように椅子に腰を下ろした。
玲也も緊張していたのか、力が抜けたように天井を見上げた。
「唯ちゃん、驚かせてごめんね。ここは橘の家が御用達にしているお店だから、わざとでは無いと思うよ。」
「はい、…私はお母様に失礼は無かったでしょうか?」
玲也は優しい微笑を浮べた。
「大丈夫。あれでもかなり唯ちゃんのことは気にいっていると思うよ。今まで僕の周りの女性には冷たい言葉しか言わなかったからね。」
「そ…そうなんでしょうか…だと良いのですが…。」