迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
「父さん!!何を言っているんだ。彼女に失礼なことはやめてくれ。」
玲也は差し出された封筒を振り払うようにしたため、封筒はふわりと空中に飛んだ。
すると、その封筒からは、ひらひらとお札がこぼれ落ちて来た。
玲也は私を守るように肩を抱くと、父親に背を向けた。
「お父さん、あなたがここまで最低な人間だと思いませんでした。これ以上彼女を傷つけたら、父親だとしても僕は許しませんよ。」
すると、父親は面白いものでも見るように、笑顔で玲也を挑発した。
「ほぅ~面白いね。どう許さないというのかな。」
玲也は次の瞬間、父親の胸ぐらをつかんだ。
「僕はもうあなたの人形じゃない。そして僕の大切にしている人を侮辱されて黙ってはいられない。」
玲也は胸ぐらを掴んでいる逆の手を振り上げて父親を殴ろうとする。
「やめて!!もうやめてください。私はこの部屋から出て行きます。」
私は急いで部屋の出口へと向かいドアを開けた。
すると、そのドアの前を塞ぐように人が立っていた。
そこに居たのは、玲也の母親だった。