迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
ソファーに座り、そっと前を見ると、そこに座っていたのは以前の玲也の婚約者であった天王寺京子と秘書の本郷だった。
私は驚き表情を強張らせたことに京子が気づいたようだ。
「花宮唯さん、驚かせてごめんなさい。今日は橘さんに報告と御礼に来たのよ。」
確かに今日の京子は柔らかい表情を浮かべている。
そして京子はいきなり隣に座る本郷の手を取ると、恋人つなぎに手を繋いだ。
「私はここにいる本郷と結婚することになりましたの…それに…私のお腹には本郷の子供がいるのよ。」
私は突然の事に言葉が見つからず、口をパクパクしていたようだ。
すると玲也はその私をみてクスッと笑った。
「唯ちゃん、驚き過ぎて言葉が出ないといったところかな?」
さらに京子は言葉を続けた。
「私が本郷を愛していることは、ずっと前から玲也さんはご存じだったようなの。でも私は両親に逆らうことが出来ないし、橘家に嫁ぐことが決められていたから、仕方なく親の言いなりになろうと思っていたのよ。」
玲也はその話を聞いて大きく頷くと、呆れたように話を始めた。
「京子は幼馴染だからね。僕はずっと分かっていたよ。本郷君が大好きなんだってね。…それなのに、婚約はお受けします!なんて言うから驚いたよ。だから僕は断り続けていたんだ。でも真実を言うと、本郷君の立場もあるので言えなかったんだ。」