迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
真紀と呼ばれたその女性は玲也を兄と言っている。
そういえば、以前に初めて玲也から服を買って貰った時、妹くらいのサイズで用意したと言っていたので、妹がいることは聞いていた。
玲也や蓮に負けない美しいルックスで妹と言われれば納得だ。
少し洋風の顔立ちに黒のロングヘアが印象的だ。
真紀は玲也の隣に座っている私の存在に気が付いたようだ。
私の真正面に立ち私をじっと観察した。
何か文句を言われそうで心臓がドクドクと大きな音を立てている。
少しの沈黙後、真紀はケラケラと一人で笑い出したのだ。
「お兄様、こちらの女性はまるで小動物のようで可愛いですね。お兄様の恋人?」
いきなり小動物と言われて、怒るよりも驚いた。
しかも真紀は全く悪気の無い表情をしている。
玲也は真紀を叱るような口調で話した。
「真紀、いきなり小動物とは何を言うのだ。失礼だぞ。彼女は花宮唯さんと言って、僕の婚約者だ。お前のお義姉さんになる人だぞ、謝れ。」
京子さんも少し怒った表情をした。
「真紀ちゃん、久しぶりだけど、玲也さんに怒られても当然よ。唯さんに謝りなさい。」
私は慌てて声を上げた。
「あの…いいのです。私は本当に皆さんから見たら小動物みたいですし…玲也さんと釣り合わないのは自覚しています。」