捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「通達だけじゃ足りないな。群生地を手入れするよう、土の精霊と契約している精霊使いを探そう」
 精霊の力を借りれば、群生地を復活させることもできるだろう。再び薬草を採取できるようになるのは、少なく見積もって半年先にはなるだろうが。
「そうですね。冒険者組合に依頼を出しておきます。我が家の配下にも一人おりますので、その者も動かしましょう」
 土の精霊の力を借りれば、群生地を早く復旧させることができる。と同時に、荒らしている者を見つけなければ。クライヴはそう決意すると、代官の屋敷を後にした。
(イオレッタにも頼めればいいんだが……事情はあるんだろうが――いつまで、ロシードにいてくれるだろうか)
 イオレッタ本人が気づいているかどうかわからないが、立ち居振る舞いの端々に育ちのよさが出ている。
 となると、没落した貴族の娘とかそんなところだろう。過去のことは問わない、というのは冒険者として暗黙の了解。クライヴもそこに踏み入るつもりは毛頭ない。
< 110 / 320 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop