捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「ああ、イオレッタさん。薬草が底をつきそうなんです!」
 カウンターの中からマーガレットが叫んでくる。
「でも、代官が手を打ったって聞いてますけど。私も、奥の方まで取りに行って、納品量増やしましたよね?」
「ええと、ちょっと待ってください!」
 と、マーガレットはカウンターに詰め掛けている薬師達に向かって叫ぶ。
「他の街から運搬してもらわないとそろそろまずいんだ。護衛の冒険者を頼む」
「薬師組合の在庫も尽きているし、採取者が持っていた分も誰かが買い占めてしまったんだ!」
 けれど、そのマーガレットに向かって薬師達が詰めかける。こんな騒ぎになっているのを見るのは初めてだ。
 このあたりで薬草が採取できなくなったら、当然街中で暮らしている人達に影響が出てくる。薬師達はそれを懸念して焦っているようだ。
「すみません、ちょっと先にいいですか。足りない薬草を教えてください。新しい群生地を探してきます」
「そんな簡単に見つかるなら苦労はしないよ!」
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