捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして

　女性の死因については、病死だろうということになっているけれど、男性が殺したのではないかと言う噂も根強く残っている。
　その噂に信ぴょう性を与えているのが、その幽霊の存在だ。
　もともと冒険者が暮らしていたわけではないのだけれど、祓うことのできない幽霊のいる家なんて買い手がつくはずもなく、借り手もつかない。それで組合が安く引き取ったのだそうだ。
「害はないの？　うるさいだけ？」
「今のところ、がたがた音を立てるだけみたいね。もしかしたら、精霊なんじゃないかという話もあって。でも、ほら、精霊使いもそう多くはないでしょう」
　それで、イオレッタに話をしてみたというわけか。幽霊ではなく精霊が住み着いているというのなら、イオレッタとはうまく意思疎通できる可能性はある。
「値段はこのままでいいの？　その家に住み着いているのが精霊で、私と仲良くなって静かになったら、お値段三倍に跳ね上がったりしない？」
「しないわ！」
　きっぱりはっきりマーガレットは断言した。この建物はもう組合の持ち物。