捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 幽霊がいなくなったからといって値段を跳ね上げるようなことになれば、組合の信用問題にもかかわってくるそうだ。
「じゃあ、ちょっと様子を見てみようかな……鍵、借りられる?」
「ええ。もちろん。借り手がついてくれるとこちらも助かるもの」
 マーガレットから鍵を借りたイオレッタはうきうきと立ち上がった。
 書類を確認したけれど、かなりいい場所にある家だ。
 組合からは徒歩十分程度。遠いと言えば遠いが、許容範囲。
 なにより、家と街の外に出る門の間に組合があるので、採取に出るのならば絶対組合の前は通るのだ。
 近くにいくつかおいしい店があるのもいい。家に帰る途中、以前クライヴに教わった店もある。自炊するのが面倒だったら、外食する場所にも困らない。休みの日には、周囲の店を回るのも楽しいだろうし、悪くない選択だ――もし、借りられるのだとすれば。
「……あら?」
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