捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 イオレッタも、母に見捨てられたくなくて力を祖母の前でも見せなかった。そうしたら、祖母は喜んでくれたかもしれないけれどできなかった。
「あなたの側には誰も残らない。だって、あなたは精霊師。精霊師は人よりも精霊の方がずっと大切なんだもの――だから、あなたは一生一人で生きていくの」
 まるで、呪いみたいに胸に刻み込まれる母の言葉。イオレッタは息をついた。
「お母様、私……私のことは愛していないの?」
「いいえ、愛しているわ。それと同時に、可哀そうだとも思っているわ。だって、私はもうすぐいなくなる。そうなったら、あなたを愛する人は誰もいなくなってしまう」
 痛い、痛い、苦しい。どうして、そんなことを言うのだろう。胸がずきずきして、目のあたりが熱くなってくる。
(……お母様の言葉は正しい。だけど!)
 愛されたいと願って何が悪い? 一人は嫌だと思って、何が悪い?
「私にだって、友達ぐらいいるもの!」
 思いきり叫んだ瞬間、目が覚めた。
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