捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 精霊使いが、自分の精霊を消滅させてしまうなんて末代までの恥だ――だが、今まで従順だったボーレンが急に反抗するなんてどうしたのだろう?
 とにかく、ボーレンに言うことをきかせることには成功した。次期伯爵として、やるべきことはやっておかなければ。
 ボーレンが畑の土を育てているのを監視していたら、向こう側からシャロンがやってくる。
イオレッタと別れてシャロンを選んだのは正解だったと彼女の姿を見ただけで思う。
 シャロンは背が高いわけではないが、トラヴィスも男性としてはそう大きな方ではない。
 イオレッタと並ぶと自分のコンプレックスを刺激されるのを覚えたけれど、シャロンとならば釣り合いが取れる。
 フリルのついたピンクのワンピースを来たシャロンは、同じくピンクのパラソルをくるくる回しながら歩いていた。
「トラヴィス様、あちらの畑に水を撒いてきたわ!」
「ありがとう。やはり、シャロンがいると楽になるな」
「領民のためですもの。当然だわ――だって、私は次期伯爵なのだもの」
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