捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
串に刺した肉を手に、タデウスがこちらににじり寄ってくる。イオレッタに聞こえないよう、彼はひそひそとささやいた。
「もし、あなたが望むなら、彼女を仲間にするというのもありだと思うんですよ」
「気持ちはありがたいが、彼女はそれを望まないだろう」
イオレッタと会話をした回数は、タデウス達よりクライヴの方が圧倒的に多い。イオレッタが一人を好む理由までは知らないけれど、誰かと一緒に動くことは望んでいなそうだ。
「申し訳ない。余計なことを言いましたか?」
「ありがたいとは思う。だが、イオレッタの望まないことはすべきじゃない――そうだろ? それに、俺達だって、いつまでもこうしていられるわけじゃない」
精霊使いは数が少ないが、その中でも、イオレッタほど多数の精霊と意志を通じ合わせることができる者は珍しい。
もし、と考えてみる。
(もし、俺がただの冒険者だったら――)
クライヴには家を捨てるという選択肢はない。だから、これは仮の話、ありえない話。
「もし、あなたが望むなら、彼女を仲間にするというのもありだと思うんですよ」
「気持ちはありがたいが、彼女はそれを望まないだろう」
イオレッタと会話をした回数は、タデウス達よりクライヴの方が圧倒的に多い。イオレッタが一人を好む理由までは知らないけれど、誰かと一緒に動くことは望んでいなそうだ。
「申し訳ない。余計なことを言いましたか?」
「ありがたいとは思う。だが、イオレッタの望まないことはすべきじゃない――そうだろ? それに、俺達だって、いつまでもこうしていられるわけじゃない」
精霊使いは数が少ないが、その中でも、イオレッタほど多数の精霊と意志を通じ合わせることができる者は珍しい。
もし、と考えてみる。
(もし、俺がただの冒険者だったら――)
クライヴには家を捨てるという選択肢はない。だから、これは仮の話、ありえない話。