捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 もし、クライヴがただの冒険者だったら、きっとイオレッタに仲間になってくれるように頼んだだろう。もちろん、イオレッタの信頼を得たうえで。
けれど、そうではないから。
 この愛おしい日々も、そう遠くない未来、終わるであろうことを知っているから。だから、今以上の関係は望まない。
「そう言えば、イオレッタちゃんが精霊に好かれるのって何かコツでもあるの?」
 レオニードと会話をしているイオレッタの方に意識が戻る。
「生まれつきですよ。人間の魔力って、精霊にとっては美味しいものなんです。例えば、子供の前に甘いケーキと激辛スープを置いたとしますよね? ケーキに集まる子供の方が多いと思うんです」
 よほど特殊な環境で育った子供でもない限り、辛いスープよりはケーキの方を好みそうだ。
「つまり、イオレッタちゃんはケーキ」
「そうですね。子供がケーキを好きなように、私の魔力は、精霊に好まれやすい味ってことです」
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