捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
テーブルの向こう側でトラヴィスが声を張りあげる。
見事な金髪を少し長めに揃えたトラヴィスは、今日も最新流行の服に身を包んでいる。
他の令嬢達を見る時は優しそうに細められる緑色の瞳は、イオレッタを見るととたんにこちらをさげすんでいるような光を放つ。
顔はいいが、顔だけなのだ――なんて考えているのはおくびにも出さない。
「あら、トラヴィス様。私より先にシャロンに会いに行くなんて、婚約者としての礼儀がなっていないのはあなたの方ではなくて?」
口調は柔らかなものを使っているが、内心を暴露してしまえば「妹と浮気しているのに、喧嘩売ってるのか?」である。貴族の娘としては、言葉を選ばねばならない。
シャロンの名を聞いたトラヴィスは、肩を跳ね上げた。
「シャロンに先に会いに行ったのはたまたまだ! たまたま!」
「あらそう」
優雅な仕草を心がけながら、紅茶のカップを取り上げる。
お代わりを注いでもらいたいのだが、部屋の隅にいるメイドはいたたまれなさそうな雰囲気だ。
見事な金髪を少し長めに揃えたトラヴィスは、今日も最新流行の服に身を包んでいる。
他の令嬢達を見る時は優しそうに細められる緑色の瞳は、イオレッタを見るととたんにこちらをさげすんでいるような光を放つ。
顔はいいが、顔だけなのだ――なんて考えているのはおくびにも出さない。
「あら、トラヴィス様。私より先にシャロンに会いに行くなんて、婚約者としての礼儀がなっていないのはあなたの方ではなくて?」
口調は柔らかなものを使っているが、内心を暴露してしまえば「妹と浮気しているのに、喧嘩売ってるのか?」である。貴族の娘としては、言葉を選ばねばならない。
シャロンの名を聞いたトラヴィスは、肩を跳ね上げた。
「シャロンに先に会いに行ったのはたまたまだ! たまたま!」
「あらそう」
優雅な仕草を心がけながら、紅茶のカップを取り上げる。
お代わりを注いでもらいたいのだが、部屋の隅にいるメイドはいたたまれなさそうな雰囲気だ。