捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 今、クライヴが持って来たのは、ガラス細工の動物であった。犬と猫。窓際に置いたら、きっとキラキラと輝くのだろう。可愛い。
「何かあったんですか?」
「ちょっとイオレッタに頼みがあってな……今日はすぐそこだから泊りじゃないんだけど、イオレッタが出かけるの、ゼルマは嫌がるだろ?」
 薬草の採取や治療所での仕事以外でイオレッタが留守にするとなると、毎回ゼルマは大暴れである。
土産を買ってくるだの、土産話をたくさん用意するからだのといろいろなだめて家を出るのが毎回のこと。
 三人とも、そのあたりのことをしっかり学んでいるらしい。さすがB級冒険者――は関係ないか。
「うちの子がわがままですみません……!」
 ついうっかり謝罪してしまった。別にゼルマの保護者というわけでもないのに。
「今日は、組合の治療所に入る予定もないし、話を聞くぐらいならしますけど?」
 イオレッタの言葉に、三人は顔を輝かせる。
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