捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「……行ってらっしゃい」
 今までだったら、『ニバーン』の面々とイオレッタが出かけてしまうと聞いたらじたばたと暴れていたのに、今回は思いがけないくらいすんなりとゼルマは引いてくれた。やっぱり、貢物が利いているのだろうか。
「あ、これ俺からの土産な」
「ありがとー!」
 クライヴの差し入れも、ゼルマは遠慮なしに受け取っていた。
「ちょっと待っててくださいねー。準備してきちゃうので」
 今日はまだ予定を立てていなかったから、外出の準備もしていない。
「じゃあ、行きがけに組合によって、イオレッタも同行するって伝えておこう」
「別についていくだけだからかまいませんよ?」
「事前に言っておかないと、報酬が俺達三人で山分けになってしまうからな」
 イオレッタはその点は気にしていないのだが、やはり収入はきちんと山分けすべきだ、というのが三人の言い分であった。
 
 冒険者組合に立ち寄って事情を説明してから、ドラゴンがいるという場所に向かう。
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