捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
街道を横向きにふさぎ、国境のあたりに、大きな黒いドラゴンが身体を丸めているのが見えた。けれど、イオレッタの視線はドラゴンを通り越し、国境の向こう側に向けられている。
(ずいぶん、昔のことみたい)
あの国境の向こうに育った家がある。
けれど、あの家での出来事はもう遠い過去のことみたいだ。
「……でかいな」
隣にいるクライヴの言葉に現実に引き戻される。そうだった、今は目の前にいるドラゴンの方が大事だった。
「誰に頼むのがいいかな……?」
ソムには無理だ。生まれたばかりの精霊だし、イオレッタとの契約もしたばかり。イオレッタと会話する時もまだ言葉がとぎれとぎれ。
となると、アルディに頼むか、フェオンに頼むか、それともヴァネッサか。
ドラゴンに敵意はないと思ったのか、周囲にはぼちぼちと見物客達も集まり始めている。
クワァァァッと大きなあくびをした時、周囲の人達が一斉にびくりとした。やっぱり、怖いものは怖いらしい。
(ずいぶん、昔のことみたい)
あの国境の向こうに育った家がある。
けれど、あの家での出来事はもう遠い過去のことみたいだ。
「……でかいな」
隣にいるクライヴの言葉に現実に引き戻される。そうだった、今は目の前にいるドラゴンの方が大事だった。
「誰に頼むのがいいかな……?」
ソムには無理だ。生まれたばかりの精霊だし、イオレッタとの契約もしたばかり。イオレッタと会話する時もまだ言葉がとぎれとぎれ。
となると、アルディに頼むか、フェオンに頼むか、それともヴァネッサか。
ドラゴンに敵意はないと思ったのか、周囲にはぼちぼちと見物客達も集まり始めている。
クワァァァッと大きなあくびをした時、周囲の人達が一斉にびくりとした。やっぱり、怖いものは怖いらしい。